お祭りコミュナスワーケーション

看仏連携

「お祭り好き集合っ!」に集った仲間たち
三重県桑名市で毎年行われる伝統的な祭り「石取祭」。
その勇壮な祭りは「日本一やかましい祭」として知られ、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。
それが2020年から始まったコロナ禍により2年間、その祭事が休止されました。そしてコロナ禍3年目の2022年になると、祭りの存続を懸けて石取祭保存会は慎重ながらも祭事開催を決断しました。しかし、真夏の大規模な祭りにおいて、感染防止策や熱中症対策が十分に取れるのか不安が尽きません。その結果、祭事に関わる約4割の町が参加を辞退することになりました。しかし、我が町内、西矢田町は、その存続のために祭事への参加を決断することになりました。当時、自治会長をつとめていた私は、ただ漫然と祭事を再開し、無為にコロナ感染を広げてはならないと考え、ならば「祭事に医療者が同行してくれれば、もっと安心できるはずだ」と考えました。

そして考案し町内に提案したのが「お祭りコミュナスワーケーション」です。

お祭りコミュナスワーケーション説明会のレジュメ表紙

これは、コミュニティナースに地域の祭に参加するという体験を提供し、医療サポートとして感染対策や熱中症対策を担いながら、地域の一員として活躍していただくという、斬新なワーケーションの企画でした。

祭りと医療が交わる瞬間
「石取祭」では、もともと毎年多くのけが人や熱中症患者が発生し、救急搬送が絶えません。そんな中、全国から集まったコミュニティナースたちが西矢田町の専属救護班として参加することが決まりました。彼らは祭りの現場で医療サポートを提供しながら、地域の一員として交流を深めるという前例のない挑戦に取り組みました。

MONZENに掲示したポスター

オレンジ色の西矢田Tシャツを着て祭車に同行するコミュナスメンバー

1年目の挑戦
ワーケーション1年目(2022年)にコミュナス4名が勇敢に集結。初めての挑戦ということもあり、町内もコミュナスもお互いに手探り状態で始まりました。「伝統的な祭りにどう受け入れられるのか?」「看護師として何ができるのか?」そんな疑問を抱えながらも、彼らは祭事に寄り添いました。祭事中、体調不良者が続出する中、コミュナスたちは適切な距離感で支援を行い、徐々に地元住民に頼りにされるようになっていきます。ついには「袢纏」を着ることを勧められ、祭りの象徴である「太鼓」を叩く機会までいただきました。地域に受け入れられ、仲間として認められた瞬間でした。コミュニティが開かれる瞬間・・・祭を彼らはそのように捉えていました。

2年目の進化
ワーケーション2年目(2023年)には、町内の人々との懐かしい再会から始まり、祭の初日から「太鼓」のお誘いを受けるなど、コミュナスの存在が祭の一部として根付いていました。副祭事長からも「医療サポートはもちろんだけど、まずは祭を楽しんで」との言葉をかけてもらい、彼らはもはや外部の支援者ではなく、祭の仲間となっていたのです。また、西矢田町だけでなく、第九組6町内の救護も任され、地域全体にワーケーションの取り組みが広がりました。祭りの終了後、石取祭保存会の委託運営を受ける救護班の責任者からは「全町内に(西矢田町のコミュナスワーケーションのように)専属の救護班があれば良いのに」という声も聞かれ、コミュナスの活動が地域に大きな影響を与えたことが実感されました。

3年目の発展:おもてなしの「かき氷振る舞い」
ワーケーション3年目(2024年)には、酷暑の中での体調管理のために「かき氷の振る舞い」という新しい取り組みが加わりました。祭りの参加者や見物人にも無料でにもふるまわれたこのかき氷は、絶好のコミュニケーションツールとなり、地域住民や参加者にとって嬉しい「おもてなし」として受け入れられました。後日、このおもてなしに対し、他町から祭事長へ感謝の言葉が伝えられたことを聞きました。とても嬉しい評価でした。

コミュナスワーケーションによる「ふるまいかき氷」の様子

GOODおせっかいAWARDでいただいた「ふるまいかき氷」のイラスト

4年目の飛躍
ワーケーション4年目(2025年)には、この活動がGOODおせっかいAWARDの10選に選ばれワーケーションの仲間と授賞式に臨みました。全国のコミュニティナースにもこの活動がよく知られ、全国でもいろいろなお祭りの場で「お祭りコミュナス」というカテゴリーが定着しつつあります。

GOODおせっかいAWARD2025のキャッチ

GOODおせっかいAWARD2025の10選に選ばれました🎉

GOODおせっかいAWARD2025表彰式にワーケーションメンバーと登壇

地域に広がる「おせっかい」の力
石取祭は、コロナ禍で祭りの担い手が減少し、参加者の高齢化や後継者不足など多くの課題を抱えていました。そんな中、コミュナスの支援は祭事に大きな安心感をもたらし、地域の人々にとって誇らしい存在となりました。外部の視点からではなく、住民の「こころいき」を尊重しつつ地域に深く関わる彼らの姿勢は、伝統を守りながらも新しい風を吹き込むものでした。

石取祭保存会の救護班メンバーといっしょにかき氷を食べながら

この祭りを通して、「おせっかい=度ある入」が、地方の祭りにどれほど大きな影響を与えるかを実感しました。今後もさらに祭を支える存在として進化していくことを期待しています!

お祭りコミュナスワーケーション5年目の活躍に乞うご期待!

 

★2023年、2024年の様子をYouTube動画でお楽しみください。

【2024くわなの石取祭でおまつりコミュナスワーケーション】

https://youtu.be/fPyC4nHxxK4

【2025くわなの石取祭でおまつりコミュナスワーケーション】

https://youtu.be/JrvzuBeVtE8

ごえんさん

ごえんさん

走井山善西寺第十五世住職。生命科学の研究者が尊いご仏縁により僧侶に転身。

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